当日の審査を振り返って
テーブルマーク賞に選ばれたのは、常翔学園高等学校の「F.frozen」チーム。
宅配サービスを始めて、それをTVCMで訴求するといった提案だったが、
ユニークで息の合った発表に加え、圧巻だったのは彼らが制作したCMだ。
写真をつなげてつくったアニメーションは、
「親子の絆」をテーマに母を気遣う子供の視点で描かれ、
今回のテーマである「大切な人」を見事に表現し、
見ている側に温かさと感動を与える大変素晴らしい作品だった。
「食卓」や「家族」にフォーカスすることで、
テーブルマークの理念を見事に表現してくれた。
審査員特別賞を受賞したのは、埼玉県立新座総合技術高等学校「みなちこ」チーム。
大切な人を“母親”と定義し、妊婦のための商品を展開して広めていこう、
という提案をしてくれた。細部までよく考えられたこの作品は、
冷凍食品のイメージを向上させる斬新な内容だった。
ミッションは広告企画であるので、この商品をどのように広めていくか、
についてもさらに探求したら、より良い提案になったはずだ。
百合学院高等学校の「笑顔を届け隊」はチームワークが素晴らしく、
その点は7チームの中でも際立っていた。
また、キャンペーンで使用するイメージキャラクターやプレゼント等、
企画内容もよく作り込んであり、
想像するだけでワクワクするような魅力的な作品だった。
ただ、キャンペーン内容や宣伝方法のアイディアが
色々と詰め込まれすぎていて、一つひとつの印象が薄まってしまった感があった。
長野県上田千曲高等学校の「キスマーク」チームは、
犯罪や争いのない平和な日本の未来のために「食」を通して、
人を思いやる気持ちを育もうという優しい提案だった。
キャンペーン内容は詳細までよく練られていたが、
このキャンペーンをどのように広めていくかまで具体的に考えられているとなお良かった。
三重県立松阪商業高等学校「trick or treat」チームは、
普段の生活で一番長くともに過ごしている「友達」を大切な人と定義した、
等身大の提案だった。
CM案はストーリー性のある内容だったが、
そのコンセプトにした理由や“テーブルマークならでは”という視点が盛り込まれていると、
より説得力が増しただろう。
話の展開はとても分かりやすく、一次審査と比べかなり進歩・改善が見られた作品だった。
渋谷教育学園渋谷中学校「とぅもーろー!!」チームは、
中学生のチームであったにも関わらず、周到な議論展開と、
マイク・台本なしの堂々たる発表は、とても印象に残った。
アプリ・食品・CMと3つのコンセプトで構成された企画は、
どの内容もしっかり考えられたものだったが、
「大切な人」というテーマをより明確に盛り込んだ提案内容にすれば、
さらによい発表になったであろう。
インパクトを狙って作られたCMは、大人の常識を打ち破る斬新な秀作だった。
桜丘高等学校「机印」チームは、東日本大震災を受けて、
大切な人を“生産者”と定義した。彼ら自身が日本の現状について自分ごととして感じ、
深く考えてきたことが分かる、とてもインパクトのある作品に仕上がった。
実際の商品や仕組みについてはもう一工夫欲しいところだが、
社会性が高く、タイムリーな提案だったことは高く評価された。
全チームが1次審査での選出から当日を迎えるまでに、
自分たちのプレゼンを磨き上げてきており、当日の審査は非常に難しかった。
各チームのプランにそれぞれ特徴があり、
発表の手法もその内容が伝わるように工夫されたもので、
プレゼンテーションのレベルの高さには審査委員一同驚いた。
抽象度の高いテーブルマークのミッションに対して、彼らなりに立ち向かい、
取り組んで、自分たちなりの答えをみつけてきた作品はどれも素晴らしいものだった。