当日の審査を振り返って
スカパーJSAT賞を受賞した常翔学園高等学校「スカパー常翔」チームの提案は、
大会テーマ「日本の未来をここからつくる!」に真正面から取り組んだ意欲作だ。
社会をよくするには、政治を変えなければならない。
若者の政治への参加意識が低いこと、既存の政治家には頼れないことを鋭く指摘した。
高校生自らが若者をレッスン(教育)し、
政治に参画するという今までにない新しい仕組み「スカパレス」を提案。
高い志とチャレンジスピリットが審査委員の心に訴えかけ、圧倒的な支持を得た。
今回のような深い探求を、今後の彼らの人生においても続けていってもらいたい。
審査委員特別賞の鴎友学園女子高等学校「TEAM☆FREEDOM」は、
スカパーJSATが大切にしているパイオニア精神を体現する、
はつらつとした表現力が魅力のチームだ。
音楽ライブの視聴をアバターと一緒に、臨場感を持って楽しむという
画期的なサービス「バーチャル・ミーツ・トゥギャザー」は、
すぐ先の未来を見せてくれているようでおもしろい。
勢いのあるパフォーマンスは、会場全体を巻き込むもので、
全ての面で完成度の高いプレゼンテーションだった。
千葉明徳高等学校の「AMe6」チームも、最後まで上位に残る力のあるチームだった。
大人に頼るのではなく、若者が自ら成長するために海外の人々と交流をしようという
パイオニア精神が高く評価された。
言語の壁を超えるための技術として提案した
「AI(人工知能)によるリアルタイム翻訳」も審査委員を感嘆させた。
淡々とした語り口ではあるが、論理的なぶれがなく聴衆の心を引き込む説得力があった。
“凡人の仲間たち”が一緒に苦難を乗り越えて改革を実現するという、
若者たちの未来に期待させる、夢のある発表だった。
立命館宇治高等学校の「Team スカパー」は、
そもそも本当に信頼できる仲間とは何かを考え、
「100人で何ができるか?」という発展的な問いからスタート。
貧困問題を解決する手段の一つとして里親制度に着目し、
ひとりの里親がひとりの子どもの面倒を見るのではなく、
100人の里親が協力する「ワンコイン里親制度」を開発するに至った。
チームワークと粘り強い探究力が見事だ。ITを活用した仕組みだけでなく、
世界中から養子たちを招待し、歌を通じて実際に人々が集うことで
信頼関係をつくるところまで踏み込んだ点も評価された。
明治大学付属明治高等学校の「スカバー」チームは、スカパーJSATの競合分析を基に、
スカパーの強みであるスポーツや40歳代のターゲットに着目した。
その的確な分析に審査委員からは、
「これまで会社内にもこのような明確な視点はなかった」という驚きの声が上がった。
また、ソーシャルメディアを生かした交流の場「キズナの製造工場 Bond Factory」も、
その独創性が高く評価された。彼らが新たな人々との出会いや絆づくりを
どのように実現していくのか、今後の探求に期待したい。
埼玉県立浦和商業高等学校の「たかさんとゆかいな仲間たち」チームは、
「信じられる仲間は実際に会うことで得られる」と気づき、
若者を対象にした「スカパー Amigo」サービスで、
SNSを生かした先進的な出会いの場の提供を提案。
人々が直接会って交流できる感謝祭イベント「スカパーティー」の
取り組みの斬新さが高く評価された。
また、新規契約を獲得し、利益を拡大するという観点もしっかりしていた。
審査委員から、「実際に会うことの大切さを、大人になっても忘れないで欲しい」
というコメントがあった。
追手門学院大手前高等学校の「君の笑顔にモンゴリアンチョップ」チームは、
テレビやオンラインゲームなどのさまざまなメディアを丁寧に調査し、
それらに共通する価値が「娯楽」であると再発見。
スカパーが提供できる価値をあらためて考え抜いたことが評価された。
また、新しいサービスのβ版テストに10代の若者100人が一緒に取り組むことで、
チームワークが生まれ、お互いの信頼関係が強くなるという企画に独自の工夫があった。
プレゼンテーションの表現においても聴衆に伝えるための工夫があれば
さらに良かったのではないだろうか。
今回、スカパーJSATに提案したチームは、
どのチームもとことん探求しようという熱意にあふれ、
ひらめきのある着想やそれを具体的な提案につくり上げる粘り強さを持っていた。
発表も、表面的なパフォーマンスに頼らない実質本位のもので、
核心を突いた言葉やビジュアル表現には、審査委員や聴衆の心を打つ説得力があった。
スカパーJSATの企業理念や活動を深く理解し、
社会の動向や生活者の暮らし方の変化などもしっかりと把握した上で、
本質的な軸からぶれることなくミッションへの探求をやり抜いた。
この姿からは大きな成長が見て取れ、未来を担う中高校生たちに
まばゆいばかりの頼もしさを感じた。