本当の”食の豊かさ”を世界に届ける
テーブルマークらしい食育プロジェクトを提案せよ!
【審査講評】
今回のミッションでは、「本当の食の豊かさ」を自分事として
どれだけ深く考えたかという点と、テーブルマークらしさを
どのように企画に盛り込んでいるかが審査の重要なポイントとなった。
テーブルマーク賞に輝いたのは常翔学園高校の「じぇAむず」。
本当の食の豊かさとは「楽しく食べること」と定義し、
「Com4Table」という、本来食べに行く場所であるレストランを、
作りに行く場所にするという独創性の高い企画を提案した。
彼らは、「楽しく食べる」ということが当たり前のようで、そうではないと訴える。
その背景には、家族で一緒に食事をしていても会話がないという実態や、
独居老人が増えている「孤食」という現状がある。
本質を突いた洞察力のある指摘が審査委員に高く評価された。
また、仲間を集う食卓掲示板アプリも「行ってみたい!楽しそう!」と思わせるもので、
アプリやスマートフォンをあまり使用しない世代への工夫もよく考えられていた。
聴衆を自分たちのフィールドに引き込んでしまう“魅せる”プレゼンテーションは、
審査委員の心も揺さぶるものであった。
現状分析の力、課題抽出の力、高い発想力、伝えきる構成力、
様々な要素がうまく融合した総合的なクオリティーの高さが企業賞の決め手となった。
トップバッターとして会場を盛り上げてくれたのは、京都市立西京高校の「win 5」だ。
このチームは消費者を対象とした中国への留学制度を提案した。
中国は現在、食料不足が深刻な問題となっており、
その原因を食料の保存技術の低さだと彼らは考えた。
そのため、日本の消費者がテーブルマークの冷凍保存技術を用いた
自然解凍可能な商品を現地に持ち込み、中国の人々に紹介するというプランだ。
消費者を留学させてしまうという発想や、
現地の人との相互の学び合いの視点などもよく考えられていた。
そして何より「自分たちが世界を変えていく」という力強いメッセージが素晴らしく、
具体的なプランをもっと聞きたくなるような、心惹かれるプレゼンテーションだった。
埼玉県立岩槻商業高校の「てーふるまりあ」チームは、「残飯」量の多さに目をつけた。
このチームが提案するのは、適量の食材を料理のレシピと一緒に各家庭に配送するというもの。
本当に必要な量だけを使うという発想は、これまでにあるようで、
実はあまりなく、現代人に欠けている視点でもあると気づかされた。
シンプルな提案ではあるが、どうしたら残飯を減らせるのか、
互いに腹を割って議論を重ねてきたことがひしひしと伝わってきた。
プレゼンテーションも手書きのイラストと彼らのストレートな言葉がすっと入ってきて、
印象に残る提案だった。
東邦高校の「smileマーク」チームは、食の豊かさを「全ての人が十分に食べること」とし、
4秒に一人が飢餓で亡くなっているという世界の貧困の厳しい現実を訴えた。
テーブルマークの既存商品である「ベーカーズセレクト」をフェアトレードで展開するという企画だ。
インドの小麦生産量が世界第二位ということに目をつけ、その小麦でナンを作り、
ベーカーズセレクトの商品として販売するといった提案は、実現性も高く、
審査委員の評価も高かった。
身近な商品を通じて、飢餓の現実を多くの人に知ってもらい、
人々の食への意識を変えてもらいたいという彼らの強い思いが感じられた。
川村高校の「Guu‐Guuキッチン」チームは、自分たちの給食の食べ残しの多さから、
「子どもたちが食べ物を残すことに何の抵抗も持たない」ことが大きな問題だと指摘。
そんな子どもたちを対象に、給食づくりを体験する「Guu-Guuワゴン」を提案。
自分たちの普段の食事がどう出来上がってくるのか、
その過程や作り手の気持ちを知ることで食への意識を変えるきっかけになると考えた。
テーブルマークは冷凍技術を生かした材料の提供で、
この「Guu-Guuワゴン」を支えていくという仕組みだ。
飽食の時代と言われる現代において「食の豊かさ」とは
何かを深く考えさせるプレゼンテーションだった。
東京都市大学付属高校の「ちーむ えぶりぼでぃ」は、
食の豊かさを「世界中の人が不足なく食べて暮らせるようにする」と定義した。
彼らは、貧困が起こる原因は家畜を育てるのに大量の穀物等が使用されているからだと
自分たちなりの意見を堂々と述べた。
そして足りない食料を増やすために彼らが目をつけたのは、
砂漠という未開拓の土地とあの納豆のネバネバの糸から作ることができる納豆樹脂だった。
納豆樹脂は非常に強い粘性と保水力を持っており、その特性を使えば、
砂漠でも穀物を作ることができると考えた。
そのアイディアの斬新さに審査委員は驚き、高い関心を寄せた。
データで裏付けされたプレゼンテーションは、論理的かつ独創性に富んでおり、
彼らの深い探求が見られた提案だった。
法政大学高校の「オレスピ」チームは、自分たちの実感が詰まった等身大の提案だ。
震災以降、家族との食事を大事に思う高校生が増えたというアンケート結果から、
大切な人と食事ができる幸福を実感、再認識するような食育プロジェクト
「和‐WARM FROM JAPAN」を提案。
これは、テーブルマークが「家族との幸せな食事の時間」を提供する
冷凍鍋キットを販売するというもの。
既存商品である肉うどんの冷凍技術を用いるなど、
テーブルマークならではの強みも盛り込まれていた。
自分たちで鍋のサンプルやCMも制作しており、
聞き手の心がじんわりと温まる完成度の高いプレゼンテーションだった。
7つのチームはどれも大変質が高く、それぞれに独自の視点があり、
ストーリーがある提案が多く見られた。
今回、「食の豊かさ」を考えることを通して、社会にどのような課題があり、
自分たちはその課題にどう向き合い、関わっていくのかをチームで
とことん考え抜いてくれたことを感じた。
彼らの強い意志がみなぎるプレゼンテーションを受けて、
社会全体が新たなステージに向かっていることを確信したファーストステージだった。